
美術室
仏像が好きになったきっかけは、小学4年生の頃に見た、東寺の立体曼荼羅です。異形のものが好きで、怪獣好きの流れから仏像好きになったので、院派や円派の穏やかでたおやかな仏像には当時ぐっときませんでした。運慶仏には躍動感があって、劇画の感じも少年心を打たれる原因でしたね。教科書に仏像が出てくる前に好きになれたことが今思うとすごく良かった。テストに出るとそれで嫌いになっちゃいますから。
奈良の東大寺でよく修学旅行生を集めて、「これが運慶作、快慶作」と先生が教えていますが、中学生の頭の中は、大仏殿の前であの子に告ろうってだけでしょ(笑)。煩悩の徒ですから。ここがいい、ここがすごいと自分の感性でぐっとくるところを見つけたいですよね。ライブに行って好きなスターの写真を買うように、好きな仏像の絵はがきを買えばいいんです。いろんな仏像がおられますから。俺は迦楼羅像がいいとか、五部浄像のファンだと言ってもいいと思います。
お釈迦様には特徴がありますね。おでこの白い毛が伸びるとか、指の間に水かきがあるとか。これはもうヒーローの設定です。後のヒーローものはブッダの特徴に即して作っているからです。人間が生みだした煩悩と闘うヒーローです。
『見仏記』を始めたころはよくお寺からしかられたものです。まず、見仏というタイトルがだめだ、仏は見るものではなくて拝むものだ、と。それはね、わかってますよ(笑)。でも、おもしろい入り口をつくりたかった。仏教は怒ってはだめです。私は仏教徒じゃないけど、門戸を狭めるようなことを言うのは、よくないと思う。
2009年の「国宝 阿修羅展」で興福寺が大きく門戸を開きましたね。
阿修羅ファンクラブの会長になってください、と朝日新聞の人から言われてびっくりしました。そのセンスって私が出して叱られるものでしょ(笑)。時代は変わったんです。
見仏で大切にしてるポイントは邪鬼目線で見ることです。四天王像に踏みつけられている鬼ですね。仏は半眼で、斜め45度くらいの角度から衆生を見下ろしています。小学生のとき、写真で見る仏像に満足いかなかったのは、カメラマンが脚立の上から真っ正面で撮っていて、それは間違ってるんじゃないかなと思っていましたから。やはり邪鬼目線、煩悩の多い人間は拝む角度で見あげる角度でなきゃね。
静岡・願成就院蔵
いつか日本全国の踏まれてる「邪鬼展」を見たいですね。当然、四天王はおられるけどあくまで主役が邪鬼の。

Our Classes運慶学園の授業
美術
全3回みうらじゅん先生
すごいぞ、運慶
『見仏記』でおなじみのみうらじゅんさんが縦横無尽に運慶について語る美術講座。
歴史
浅見 龍介先生
和田 彩花さん
鎌倉彫刻史と運慶
学園生徒・和田彩花さんが東京国立博物館研究員の浅見龍介氏に話を聞きます。
宗教
興福寺貫首
篠原 ともえさん
僧侶・運慶
学園生徒・篠原ともえさんが多川俊映興福寺貫首に話を聞きます。
体育
石井 直方先生
天燈鬼・龍燈鬼の筋肉を科学する
運動生理学が専門の石井直方先生が、天燈鬼・龍燈鬼立像の筋肉について解説します。
